ジオン注射

ジオン注射療法とは

2005年(平成17年)からジオン注射が保険適用になりました。
この治療では、ジオンという薬剤を注射で痔核に注入し、痔核を小さく固めて消退させます。1度で効果を発揮することから、手術とほぼ同等の根治性を持っているとされています。従来であれば切除手術が必要だった内痔核(いぼ痔)も、ジオン注射のみで対応可能になってきています。

痔核(いぼ痔)とは

過度のいきみなどで肛門に負担が大きくかかることで、血行障害を起こし、静脈瘤のような状態が痔核です。肛門にある歯状線よりも直腸側にできたものを内痔核、肛門側にできたのが外痔核と言います。痔核は、通常それを吊り上げている組織によって肛門内に留まっています。その痔核が大きくなり支えきれなくなって、肛門外に脱出した状態を脱肛と言います。内痔核が大きくなって肛門外に脱出を起こすと、外痔核を伴う内外痔核という状態となります。

 

ジオン注射による短期滞在治療法

脱出を伴う内痔核に対して有効なのがジオン注射療法です。ジオン注射によって、痔核に流れ込む血液量を減らし、痔核を硬く小さくし、粘膜に癒着・固定させて改善させます。短期滞在治療が可能です。ジオン注射接種翌日には出血が止まり、数日後には痔核が脱出しないようになります。痛みを感じずにできる治療として注目を浴びています。

 

ジオン注射で用いる薬剤

硫酸アルミニウムカリウム水和物で脱出した状態を改善します。また、タンニン酸によってその働きを調節していきます。これらの成分の頭文字からALTA(アルタ)とも呼ばれます。

ジオン注射の方法

4段階注射法

ジオン注射では、内痔核の粘膜部分を4つの部分に分けて、それぞれに注入する4段階注射法が原則です。現状、脱肛を伴う患者様の多くは、肛門管という皮膚の部分も腫れているケースがほとんどです。ジオン注射が登場した当時には皮膚の部分に注射できないとされていましたが、ある一定量であれば有効であることがわかり、皮膚の部分にも注射して治療する5段階注射法も可能になっており、当院でもこれを導入しています。

ジオン注射の効果

投与後早い時期

痔核へ流れる血液量が減ります。翌日には出血が止まり、脱出の程度も小さくなってきます。

1週間~1カ月

次第に痔核が小さくなり、引きのばされていた組織が元の位置に癒着し固定されます。圧出がなくなります。

その後

出血がなくなって、脱出部位や肛門周囲の腫れが消えていきます。

治療後の経過

当日(1泊入院)

排便後に治療を開始します。
治療当日は術後経過確認のため、1泊入院していただきます。

翌日退院

患部を確認したのち、問題なければ退院していただきます。状態に応じて使用する軟膏を決めます。

1週間

診察を行い経過観察します。痔核の大きさによって通院期間や頻度が異なります。

1~3カ月後

痔核が退縮します。

副作用について

当院では、数多くのジオン注射治療を行ってきており、重篤な副作用は全く出ておりません。 治療後には肛門付近に違和感や軽い痛みがあるケースもありますが、翌日にはほとんどの症状が消失します。 術後1~2週目に排便時の軽い出血がみられる場合もありますが、ジオン注射後1週間目にご来院いただき、患者様の状態に応じて注入軟膏を1週間使用していただくことでこうした出血を回避できます。そのため、当院でジオン注射を受けられる場合、原則として1週間後のご来院をお願いしています。

また、ジオンの薬剤はアルミニウムの化合物ですので、そうしたものを注入することを懸念される方もいらっしゃいますが、ジオン注射後に十分な水分補給を行うことで24時間以内にアルミニウムの化合物はほとんどが排泄されるので問題はありません。

排便に関する注意点

排便にかける時間は5分程度とし、無理に排出しようとしないでください。当日の排便でも大丈夫です。排便時に多少の出血があるかもしれません。また、1~2カ月目に出血が見られる場合があります。便が出ない・便量が少ない場合は、来院してください。

治療後の注意点

ジオン注射療法を受けたあとは、早く治すためにも以下の点に注意してお過ごしください。

入浴

当日はシャワーを浴びる程度でしたら可能です。翌日から湯船での入浴が可能です。

食事

完治するまでアルコールは禁物です。辛いものなどの刺激の強い食べ物は3週間ほど控えてください。

日常生活

お尻に力を入れたり、重いものを持ったりしなければ、翌日から仕事復帰できます。自転車やオートバイの運転は1週間ほど控えてください。当日の自動車運転も避けてください。椅子に座る際は深く座ってください。1時間ごとに立ったり、少し歩いたりしてお尻への負担を軽減させてください。

治療費用

ジオン注射(ALTA療法) 約20,000円 
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