便秘とは
排便が何日もない状態だけではなく、満足のいく排便ができない状態を便秘と言います。日本消化器病学会関連研究会によると、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を便秘と定義しています。便秘は、腸や肛門に大きく負荷がかかるだけではなく、大腸疾患の発症リスクを高めてしまいます。さらに、重篤な大腸疾患を及ぼす可能性があるため注意が必要です。便秘で悩んでいる方は非常に多く、体質だからと諦めている方も多くいます。便秘は治療で治せる病気です。便秘を慢性化させる前に、一度医療機関を受診し、適切な治療を受けることをおすすめしています。
便秘治療は便秘外来へ
当院では、便秘の原因を特定し、腸の状態に適した治療と患者さんに最適の生活習慣改善をアドバイスしています。患者さんのライフスタイルに合った治療を行い、快適な生活を送れるように便秘治療をご希望の方は便秘外来にお越しください。
こんな便秘症状がある場合は便秘外来を受診してください
- 便が硬い
- 便の手前部分だけが硬い
- 排便しにくい
- 強くいきまないと便が出ない
- 便に血が混じっている
- 便が黒っぽい
- 排便に時間がかかる
- お腹が張って苦しい
- 3日以上排便がない
- 毎日排便があるのにスッキリしていない
- 残便感がある
- 下剤を飲んで便を出している
- 服薬で下痢状態にしないと排便できない
- 便秘薬の量を増やさないと出なくなってきた
- 便秘で肌が荒れてきた
- 足がむくんでいる
便秘の原因
運動不足・水分不足・食物繊維不足・腸機能低下・腸疾患・腸内細菌叢の乱れ・排便習慣の乱れ・ストレスなどが主な原因です。また、環境の変化や複数の原因が影響している場合もあります。さらに、深刻な疾患が原因の場合があるため、便秘が気になる場合は医療機関で適切な治療を受けてください。
便秘の種類
便秘の種類には、機能性便秘と続発性便秘などの種類があります。腸機能のなんらかの問題で便秘が起きている場合は機能性便秘とされ、便秘の元となる病気がある場合を続発性便秘としています。機能性便秘は便秘外来を、続発性便秘は胃腸科を受診して治療を行います。腸機能低下や生活習慣の影響がある場合は、便秘外来での治療が有効です。便秘でお悩みの方は、まず便秘外来を受診して原因や便秘のタイプを調べて特定しましょう。
機能性便秘
結腸通過時間正常型（直腸性便秘）
便意低下による便秘です。直腸までは遅延なく便が到達しています。
結腸通過時間遅延型（痙攣性便秘）
消化器の蠕動運動の乱れが原因です。直腸まで便が到達するのに時間がかかっています。
排便出障害型（弛緩性便秘）
排便機能の低下が原因です。いきんでも便がなかなか出ない状態です。
続発性便秘
なんらかの病気が原因で現れる便秘です。もととなる疾患の治療が必要です。
器質性便秘
腸管閉塞や狭窄による便秘です。腹部手術後の癒着や大腸がんが原因となります。
肛門直腸疾患
切れ痔が慢性化し、肛門が狭窄することで便秘となります。便秘と切れ痔は大きく関係していて、悪循環を招きやすいとされています。短期滞在外科手術治療が可能です。
その他
幅広い疾患の症状で便秘が現れます。また、服用中の薬によっても便秘になることもあります。とくに、降圧剤の服用やそのほか薬の副作用として便秘となることが多いため、便秘外来を受診するときは現在服用中の薬をお知らせください。
便秘外来の診察と検査
当院は、便秘外来のほかに内科・胃腸科・外科・肛門外科など幅広い診療を行っているので、患者さんが便秘外来を受診することはほかの方はわかりません。また、受付で病名や症状をお聞きすることはありません。当院では、患者さんのプライバシーに十分配慮して診療を行っているので、安心してご来院ください。
１．診察
問診にて、しっかりと患者さんのお話を伺います。便秘の症状やお悩み、病歴・現在服用している薬・ライフスタイルなどをお聞きしています。
2.触診・検査
腹部の触診・聴診を行います。さらに、腹部Ｘ線検査で便秘の状態を確認します。必要に応じて、血液検査・超音波検査・大腸内視鏡検査を行い便秘の原因となる疾患を確認していきます。
3.治療方針のご相談
患者さんに適した治療方法についてご相談していきます。便秘のお悩みや治療に対するお考えを伺いながら、ライフスタイルに合った治療方法を決定していきます。
便秘の治療法
生活習慣の改善
便秘の解消には、生活習慣の改善は欠かせません。食生活の改善を中心に、正しい排便習慣を身に付けていきます。当院では、便秘の原因やタイプに応じて、専門医がきめ細かい指導を行います。便秘解消には、食物繊維と水分を積極的に摂取します。食物繊維には、水溶性と不溶性があり、量や種類などを適切に摂取しないと逆に悪化させてしまうので注意が必要です。また、生活習慣の改善は継続することが大切です。無理なくできることから取り入れて続けましょう。
薬物療法
腸機能を整える薬・漢方薬・腸内フローラを改善する薬などを用いて治療を行います。患者さんの症状やお悩みに合わせてきめ細かく処方していきます。便秘の原因やタイプに最適な薬の服用で、できるだけ早く快適な状態にしていきます。また、効果の現れ方も人それぞれです。診察の度に経過を見ながら処方を少しずつ変えるなどして、短期間で最適な処方を心がけています。
