いぼ痔の治療法には生活習慣の改善、薬物療法、外科的治療があります。いぼ痔の場所や症状の程度によって、最適な治療は異なります。
この記事ではいぼ痔の治療法をまとめました。
「いぼ痔の治療にはどんなものがあるの?」
「いぼ痔は手術しないと治らない?」
このような疑問をお持ちの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
なお、当院には肛門科があり、いぼ痔の治療にも対応しています。
短期滞在外科手術にも対応しており、仕事や子育て、介護に忙しい方でも治療が可能です。
いぼ痔にお悩みの方は、一度当院へご相談ください。
いぼ痔の治療には、保存的治療と外科的治療がある
いぼ痔の治療には保存的治療と外科的治療があり、生活習慣の改善と薬物療法が保存的治療に分類されます。
保存的治療 | 生活習慣の改善 | |
---|---|---|
薬物療法 |
|
|
外科的治療 |
|
いぼ痔の治療は保存的治療が中心ですが、症状が重い場合や保存的治療で改善しない場合は外科的治療の適応になります。
いぼ痔には外痔核、内痔核の2種類があり、肛門の歯状線より外側にできたいぼ痔が外痔核、肛門側にできた痔核が内痔核です。
治療法はいぼ痔の種類によっても異なります。
内痔核は症状の程度によって4段階に分類され(Golighter分類)、grade Ⅲ以上の内痔核は手術で治療します(※1)。
分類 | 症状 |
---|---|
grade Ⅰ | 排便時に肛門で留まり、脱出はしない |
grade Ⅱ | 排便時に肛門外に脱出するが、排便が終わると自然に戻る |
grade Ⅲ | 排便時に脱出し、指で押さないと戻らない |
grade Ⅳ | 常に肛門外に脱出し、指で押しても戻らない |
(※1 参考)肛門疾患・直腸脱(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2020年版/改定第2版(日本大腸肛門病学会)
生活習慣の改善
いぼ痔は生活習慣と深く関わっているため、改善するには肛門に負担のかからない生活習慣を続ける必要があります。
具体的には、次のことを心がけるとよいでしょう(※1)。
- 水分、食物繊維を十分に摂取する
- アルコールを飲み過ぎない
- いきみ過ぎないよう注意する
- 便意を催してから排便し、長時間便器に座らない
- 便秘、下痢の場合はお通じを改善する
- お風呂で肛門を温める
- 長時間座り続けない
- 体の冷えを避ける
薬物療法
いぼ痔に使われる薬の成分について、成分の例をまとめました。
薬の種類 | 成分の例 | |
---|---|---|
塗り薬(外用薬) | 軟膏 |
など |
坐剤 | ||
飲み薬(内服薬) |
|
外用薬、内服薬それぞれについて、薬の例を解説します。
外用薬
いぼ痔で使われる外用薬には軟膏、坐剤の2種類があります。同じ成分で軟膏、坐剤が選べる薬もあります。
いぼ痔に使われる外用薬の一例と特徴をそれぞれまとめました(※1~※4)。
薬の例 | 剤型 | 特徴 |
---|---|---|
強力ポステリザン | 軟膏 | 炎症を抑えるステロイドと、感染症を防ぎ創傷部の治癒を促進する成分を配合 |
プロクトセディル | 軟膏、坐剤 | ステロイド、局所麻酔薬、抗菌薬、止血作用を持つ成分を配合 |
ボラザG | 軟膏、坐剤 | 血流障害を改善して浮腫を抑える成分、局所麻酔薬を配合 |
ヘルミチンS | 坐剤 | 局所麻酔薬、鎮痛薬、止血薬を配合 |
上記のほか、市販薬でもステロイドや局所麻酔薬を含む軟膏、坐剤が販売されています。
軽度の症状であれば市販薬も使用できますが、使っても改善しない場合や症状が強い場合は一度医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。
(※1 参考)強力ポステリザン軟膏 添付文書|マルホ株式会社
(※2 参考)プロクトセディル軟膏 添付文書|EAファーマ株式会社
(※3 参考)ボラザG軟膏 添付文書|天藤製薬株式会社
(※4 参考)ヘルミチンS坐剤 添付文書|長生堂製薬株式会社
内服薬
いぼ痔に使われる内服薬の一例と特徴をそれぞれまとめました(※1~※3)。
薬の例 | 特徴 |
---|---|
ヘモクロンカプセル | 血流障害を改善して浮腫を抑える |
ヘモナーゼ配合錠 | 抗炎症作用、血栓溶解作用、血行改善作用、創傷部の治癒を促進する作用を持つ成分を配合 |
ヘモリンガル舌下錠 | 肛門の血流を促進して浮腫を改善 |
このほか、鎮痛薬やいぼ痔の原因となる便秘を改善する薬が処方される場合もあります。
(※1 参考)ヘモクロンカプセル 添付文書|天藤製薬株式会社
(※2 参考)ヘモナーゼ配合錠 添付文書|ジェイドルフ製薬株式会社
(※3 参考)ヘモリンガル舌下錠 添付文書|東菱薬品工業株式会社
外科的治療
保存的治療(生活習慣の改善、薬物療法)でも症状が改善しない出血症状、Golighter分類でgrade Ⅲ以上の内痔核には外科的治療が適応になります(※1)。
いぼ痔に対する外科的治療は以下の通りです。
- 結紮切除術
- ゴム輪結紮法
- ジオン注射(ALTA療法)
- Stapled hemorrhoidopexy(PPH 法)
- 分離結紮法
いぼ痔の場所や症状の程度によって、適した治療は異なります。
当院では結紮切除術、ゴム輪結紮法、ジオン注射(ALTA療法)に対応しています。
(※1 参考)肛門疾患・直腸脱(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2020年版/改定第2版(日本大腸肛門病学会)
結紮切除術
は1〜3ヵ所の組織を使っていぼ痔の根本にある動脈を結んで縛ってから、いぼ痔を切除する方法です。当院では内痔核の結紮切除法とジオン注射(ALTA療法)を併用する場合もあります。
内痔核、外痔核の両方に対応できる術式で、他の痔やポリープを合併していても手術が可能です。
当院では結紮切除術に超音波メス(ハーモニックスカルペル)を導入しています。
止血が確実であるため術後の出血リスクが少なく、手術による組織損傷や術後の痛みを極力抑えることが可能で、治癒も早いという特徴を持っています。
ゴム輪結紮法
ゴムでいぼ痔を縛り、血流を阻害して壊死・脱落させる方法です。内痔核に対して行われます。
痛みがほとんどなく手技がシンプルなため、いぼ痔の場所や大きさによっては外来で手術が可能です。
ジオン注射(ALTA療法)
ジオンという薬剤を注射していぼ痔を固め、徐々に小さくする方法です。Golighter分類でgrade Ⅱ、Ⅲ程度の内痔核に適応があります。
約1週間から1ヵ月ほどで完治が期待できます。
当院でもジオン注射による短期滞在外科手術に対応しており、最短で翌日退院が可能です。
Stapled hemorrhoidopexy(PPH 法)
肛門全体にわたって内痔核が見られる場合に適応となる治療法です。
縫合機を使って脱出している部分を釣り上げて固定し、上直腸動脈の血流を止めていぼ痔を縮小させます。
分離結紮法
根本の部分を縛っていぼ痔への血流を阻害し、壊死・脱落させる方法です。以前から内痔核、外痔核に適応される治療法ですが、痛みが出やすいため鎮痛薬を併用する必要があります。
当院でもいぼ痔の治療に対応しています
筑波胃腸病院には肛門科があり、いぼ痔の治療にも対応しています。ジオン注射による治療など、手術以外の選択肢も用意しています。
「いぼ痔を治療したい」
「なるべく手術はせずにいぼ痔を改善したい」
このようなお悩みがあったら、ぜひ一度当院へご相談ください。
症状や肛門の状態から、最適な治療法をご提案いたします。
一般診療 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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8:45〜12:00 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
15:00〜17:30(受付17:00まで) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ |
監修 鈴木 隆二 筑波胃腸病院 理事長
経歴
- 聖マリアンナ医科大学 卒業
- 東京女子医大初期臨床研究センター 研修医
- 東京女子医大消化器病 センター 外科 錬士
- 東京女子医大大学病医学 研究科 博士課程修了
- 東京女子医大消化器病 センター 外科 膵臓外科 助教
- 医療法人筑三会筑波胃腸病院 理事長