いぼ痔とは、肛門の血管がうっ血してできたふくらみのことです。
排便の際に出血する場合や、肛門にふくらみができている場合、もしかしたらいぼ痔かもしれません。
「もしかしたらいぼ痔かも?」
「いぼ痔をセルフチェックする方法を知りたい」
そんな方に向けて、この記事ではいぼ痔をセルフチェックする方法やいぼ痔になりやすい人の特徴について解説します。
なお、いぼ痔を自力で治すのは難しいため、「もしかしていぼ痔かも」と思ったら医療機関の受診をおすすめします。
当院でもいぼ痔の治療を承っており、短期入院による手術や切らない治療法にも対応可能です。お気軽にご相談ください。
いぼ痔(痔核)の症状をセルフチェック
いぼ痔によく見られる症状は、以下の通りです(※1)。
- 排便の時、鮮やかな血が出る
- 肛門に痛みを感じる
- 肛門からふくらみが出ている(脱出)
- 排便の時や重い物を持った時、肛門からふくらみが出てくる
- 肛門が腫れている
- 肛門が痒い
- 肛門から粘液が出ることがある
当てはまる症状があったら、いぼ痔を発症している可能性があります。まずは医療機関を受診しましょう。
なお、一部の症状はいぼ痔だけでなく他の病気でも見られます。これらの病気は合併することもあります。
チェックリストはあくまで参考としてご利用ください。
いぼ痔と症状が似ている病気 | 特徴 |
---|---|
痔ろう |
|
切れ痔(裂肛) |
|
直腸脱 |
|
まれに直腸肛門のがんが見つかる場合もあるため、「いぼ痔かも」と思ったら放置せず早めに医療機関を受診しましょう。
いぼ痔になりやすい人の特徴
上記の症状に加え、次に当てはまる人はいぼ痔を発症するリスクが高いことがわかっています(※1)。
- 排便回数が少ない
- 排便時にいきみがち
- 排便時、便座に座っている時間が長い
- 慢性的な便秘、下痢
- 腹圧がかかりやすい、重い物を取り扱う仕事に就いている
- 肛門がうっ血しやすい、長時間のデスクワーク
- 食物繊維が不足している
- 妊娠、出産で肛門に負担がかかる
なお、いぼ痔の発症率に男女差はなく、年齢層は45~65歳が最も多い傾向があります。
いぼ痔の種類
いぼ痔は場所によって、外痔核と内痔核の2種類に分けられます。それぞれの特徴と起こりやすい症状をまとめました。
外痔核
外痔核とは歯状線よりも肛門上皮側にできる痔核(いぼ痔)のことです。
次の症状が見られる場合は、外痔核の可能性があります。
- 肛門に強い痛みがある
- 肛門の外側にふくらみがある
肛門の外側は知覚神経がある皮膚のため、強い痛みが生じます。肛門周囲にある毛細血管が切れると、血豆のような外痔核(血栓性外痔核)となることもあります。
内痔核
内痔核とは、肛門の歯状線より内側にできる痔核(いぼ痔)のことです。
次の症状が見られる場合は、内痔核の可能性があります。
- 痛みはあまり感じない
- 普段肛門にふくらみはないが、排便時に出てくる
内痔核は粘膜にできるため痛みはなく、そのため外痔核よりも気付きにくい病気です。排便時の出血や、排便時出てくるいぼのようなふくらみ(脱肛)で初めて気付くことが多いと言われています。
なお、内痔核でも症状が進行すると排便時以外もふくらみが出てくることがあります。
内痔核は症状の程度によって、4段階に分類されます(Golighter分類)(※1)。
通常、grade Ⅲ以上のいぼ痔は手術による治療が必要です。
分類 | 症状 |
---|---|
grade Ⅰ | 排便時に肛門で留まり、脱出はしない |
grade Ⅱ | 排便時に肛門外に脱出するが、排便が終わると自然に戻る |
grade Ⅲ | 排便時に脱出し、指で押さないと戻らない |
grade Ⅳ | 常に肛門外に脱出し、指で押しても戻らない |
いぼ痔の治療法は?保存的治療と外科的治療がある
いぼ痔の治療には保存的治療と外科的治療があり、生活習慣の改善と薬物療法が保存的治療に分類されます。
保存的治療 | 生活習慣の改善 | |
---|---|---|
薬物療法 |
|
|
外科的治療 |
|
いぼ痔の治療は保存的治療が中心ですが、症状が重い場合や保存的治療で改善しない場合は外科的治療の適応になります。
生活習慣の改善
いぼ痔は肛門の血管がうっ血して起こります。いぼ痔を改善するためには、肛門への負担を減らして血行を改善することを心がけましょう。
生活習慣の注意点は、以下の通りです(※1)。
便通コントロールの改善 |
|
---|---|
肛門の負担軽減 |
|
肛門の血行改善 |
|
薬物療法
薬物療法に直接いぼ痔を小さくする効果はありませんが、痛みや炎症を抑えるために塗り薬や飲み薬が使われることもあります。医療機関では医師が肛門の状態を診て、最適な薬を処方します。
いぼ痔に使われる薬の成分について、成分の例をまとめました。直接いぼ痔を治療するほか、便秘を改善して肛門への負担を和らげる場合もあります。
薬の種類 | 成分の例 | |
---|---|---|
塗り薬(外用薬) | 軟膏 |
|
坐剤 | ||
飲み薬(内服薬) |
|
いぼ痔には市販薬もありますが、自分の症状に合った薬を使うためには一度医療機関を受診することをおすすめします。
外科的治療
生活習慣の改善や薬物治療で改善が見込めない場合、外科的治療を行う場合もあります。
いぼ痔の手術を適応と特徴ごとにまとめました(※1)。
外科的治療 | 適応 | 特徴 |
---|---|---|
結紮切除術 | 内痔核・外痔核 |
|
ゴム輪結紮術 | 内痔核 |
|
ジオン注射 (ALTA療法) |
Golighter分類(※)でgrade Ⅱ、Ⅲ程度の内痔核 |
|
Stapled hemorrhoidopexy(PPH 法) | 全周性の内痔核 |
|
分離結紮法 | 内痔核・外痔核 |
|
外科的治療の中には切除をせず、痛みの少ない治療もあります。
当院でもいぼ痔の外科的治療に対応しています。
当院ではいぼ痔の治療に対応しています
筑波胃腸病院には肛門科があり、いぼ痔の治療にも対応しています。ジオン注射による治療など、手術以外の選択肢も用意しています。
「チェックリストの症状に当てはまっている」
「もしかしたらいぼ痔かもしれない…」
このようなお悩みがあったら、ぜひ一度当院へご相談ください。
症状や肛門の状態から、最適な治療法をご提案いたします。
一般診療 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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8:45〜12:00 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ |
15:00〜17:30(受付17:00まで) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | ○ |
監修 鈴木 隆二 筑波胃腸病院 理事長
経歴
- 聖マリアンナ医科大学 卒業
- 東京女子医大初期臨床研究センター 研修医
- 東京女子医大消化器病 センター 外科 錬士
- 東京女子医大大学病医学 研究科 博士課程修了
- 東京女子医大消化器病 センター 外科 膵臓外科 助教
- 医療法人筑三会筑波胃腸病院 理事長