いぼ痔の手術にはどんな方法がある?

いぼ痔の手術にはどんな方法がある? hemoroids surgery

いぼ痔とは肛門周辺の血管がうっ血してできるいぼ状のふくらみのことです。

いぼ痔の治療法として、生活習慣の改善、薬物治療のほかに手術があります。手術の方法は複数あり、いぼ痔の場所や症状によって医師が最適な手術を判断します。


いぼ痔に悩んでいる方は放置せず、まずは医療機関に相談しましょう。当院でもいぼ痔の手術に対応しています。


この記事では、いぼ痔の手術について解説します。

「いぼ痔の手術について詳しく知りたい」

「いぼ痔があるので手術を受けたいけど不安」

そんな方は、ぜひ最後までお読みください。

いぼ痔の場所、状態によって対応する手術は異なる

いぼ痔の手術には複数の種類があり、患部の場所や状態によって最適な手術は異なります。


いぼ痔は場所によって内痔核、外痔核の2種類に分類されます。肛門にある歯状線より内側にできた痔核が内痔核、歯状線より外側(肛門上皮側)にある痔核が外痔核です。

いぼ痔のイラスト

いぼ痔の手術を適応と特徴ごとにまとめました(※1)。


外科的治療 適応 特徴
結紮切除術 内痔核・外痔核
  • 根本にある動脈を結んでから、いぼ痔を切除する
  • 当院では内痔核の結紮切除法とジオン注射を併用する場合も
ゴム輪結紮術 内痔核
  • いぼ痔をゴムで縛って壊死・脱落させる
ジオン注射
(ALTA療法)
Golighter分類(※)でgrade Ⅱ、Ⅲ程度の内痔核
  • 薬剤を注射していぼ痔を固め、徐々に小さくする
  • 約1週間から1ヵ月ほどで完治
Stapled hemorrhoidopexy(PPH 法) 全周性の内痔核
  • 脱出する肛門クッションを縫合機で固定し、血流を遮断して痔核を縮小させる
分離結紮法 内痔核・外痔核
  • 痔核の根本を縛って壊死させる

(※)内痔核を重症度によって4段階に分類する方法。


分類 症状
grade Ⅰ 排便時に肛門で留まり、脱出はしない
grade Ⅱ 排便時に肛門外に脱出するが、排便が終わると自然に戻る
grade Ⅲ 排便時に脱出し、指で押さないと戻らない
grade Ⅳ 常に肛門外に脱出し、指で押しても戻らない

(※1 参考)肛門疾患・直腸脱(痔核・痔瘻・裂肛)診療ガイドライン2020年版/改定第2版(日本大腸肛門病学会)

結紮切除術

いぼ痔の組織を剥離し、根本にある動脈を縛った上で切除する方法です。内痔核、外痔核を問わない手術で、肛門ポリープや血栓性外痔核、痔ろう、切れ痔を合併していても対応できます。

結紮切除術は、いぼ痔の治療法で一番根治しやすい治療法です。結紮切除術を単独で行うほか、ジオン注射(ALTA療法)と併用して注射の効果が及ばない部分だけ結紮切除術を行う治療方法もあります。

欠点として痛みが出やすい点が挙げられます。当院では出血リスクの少ない超音波メス(ハーモニックスカルペル)を用いて結紮切除術を行うため、組織の損傷や術後の痛みを抑えて手術が可能です。

ゴム輪結紮法

内痔核に用いられる方法で、いぼ痔をゴムで縛って血流を阻害し、組織を壊死させる治療法です。ゴム輪結紮法では切開をせず治療できるため痛みを感じにくく、手技がシンプルなために外来手術でも実施されています。

合併症として手術後に出血のリスクがあり、血液の疾患を持っている方や血液に関する薬を服用している方はゴム輪結紮法を受けられない場合があります。

ジオン注射(ALTA療法)

いぼ痔を薬剤により硬化させて取り除く方法を硬化療法といいます。硬化療法は内痔核に適用となる方法です。

ジオン注射(ALTA療法)は硬化療法の1つで、一般的にgrade Ⅱ、Ⅲ度の内痔核に適用されます。硫酸アルミニウムカリウム水和物・タンニン酸(aluminum potassium sulfate hydrate and tannic acid:ALTA)をいぼ痔に注射し、組織を硬化させて脱出を改善する方法です。

ジオン注射(ALTA療法)のイラスト

注射後、いぼ痔は次第に硬化しながら小さくなり、約1週間から1ヵ月ほどで完治します。1度で効果を発揮し痛みも少ないため、短期滞在治療が可能です。


時期 経過
投与後早い時期
  • いぼ痔への血流が減り、翌日には出血が止まる
  • 脱出の程度が小さくなる
1週間~1ヵ月
  • 次第にいぼ痔が小さくなる
  • 引き伸ばされていた組織が元の位置に癒着し、固定
  • 圧出がなくなる
その後
  • 出血がなくなる
  • 脱出部位、肛門周囲の腫れが消えていく

Stapled hemorrhoidopexy(PPH 法)

Stapled hemorrhoidopexy(PPH 法)では特殊な器具を用いて直腸粘膜を環状に切除、縫合します。いぼ痔そのものには手を加えず、上の粘膜を釣り上げて元の位置に戻すことでいぼ痔を脱出から元の位置に戻します。

全体に広がった内痔核や粘膜脱に対して適用される治療法です。少ないいぼ痔に対しては過剰な治療となってしまうため、あまり適用されません。

肛門より内側で処置を行うため、痛みを比較的感じにくい治療法です。

分離結紮法

分離結紮法は内痔核、外痔核の両方に適用があり、いぼ痔に対して昔から用いられている治療法です。いぼ痔の根本を持続的に縛り続けて血流を止め、壊死・脱落させます。

痛みが強くなりやすいため、局所麻酔薬を併用して処置を行います。

手術以外にいぼ痔を治療する方法(保存的治療)

いぼ痔の治療には手術のほか、外科的なアプローチを行わない保存的治療があります。いぼ痔に対してはまず保存的治療を行い、それでも改善しない場合やgrade Ⅲ以上の脱出症状が見られる場合に手術を行います。

いぼ痔の保存的治療は、生活習慣の改善と薬物療法の2種類です。


  • 生活習慣の改善
  • 薬物療法

生活習慣の改善

いぼ痔と生活習慣には密接な関わりがあるため、薬物治療や手術だけでなく日頃の過ごし方もいぼ痔の治療につながります。

いぼ痔の患者さんには排便回数が少ない人や、慢性的に便秘がちな人が多く見られます。排便コントロールを改善し、肛門に負担をかけない生活を意識しましょう。


  • 水分を十分に摂る
  • 食物繊維を意識した食生活を心がける
  • 長時間便座に座るのは避け、便意を感じてからトイレに行く
  • 排便時、強くいきむのを避ける
  • デスクワーク中心の生活を送っている人は、こまめに立ち歩くよう意識する
  • アルコール、刺激物は控える

またいぼ痔は肛門の血流が滞りうっ血してできるため、入浴・座浴や運動によって温めて血流を促進すると改善が期待できます。

薬物療法

薬物治療にいぼ痔をなくす効果はないものの、痛みや出血を抑える効果は期待できます。軟膏や坐剤のほか、痛みや便秘を改善するために飲み薬が使われることもあります。

いぼ痔に使われる薬の成分について、成分の例をまとめました。


薬の種類 成分の例
塗り薬(外用薬) 軟膏
  • ステロイド
  • 局所麻酔薬
  • 抗菌薬
  • 止血薬
など
坐剤
飲み薬(内服薬)
  • 鎮痛薬
  • 便秘薬
など

いぼ痔には市販薬もありますが、自分の症状に合った薬を使うためには一度医療機関を受診することをおすすめします。

当院ではいぼ痔の短期滞在手術も行っています

筑波胃腸病院には肛門科があり、いぼ痔の治療にも対応しています。ジオン注射による治療など、切開手術以外の選択肢もご用意しています。

短期滞在外科手術にも対応しており、仕事や家事、子育て、介護に忙しい方でも治療が可能です。


「いぼ痔の手術を受けたいけど、忙しくて時間がない」

「なるべく痛みの少ない方法でいぼ痔を取りたい」

このようなお悩みがあったら、ぜひ一度当院へご相談ください。

いぼ痔の場所や症状から、最適な治療法をご提案いたします。


一般診療
8:45〜12:00 ×
15:00〜17:30(受付17:00まで) × ×

鈴木 隆二

監修 鈴木 隆二 筑波胃腸病院 理事長

経歴
  • 聖マリアンナ医科大学 卒業
  • 東京女子医大初期臨床研究センター 研修医
  • 東京女子医大消化器病 センター 外科 錬士
  • 東京女子医大大学病医学 研究科 博士課程修了
  • 東京女子医大消化器病 センター 外科 膵臓外科 助教
  • 医療法人筑三会筑波胃腸病院 理事長

ご予約・お問い合わせ

オンライン予約(24時間受付)

Web予約 LINE予約

お電話でのお問い合わせ

病院代表
受付時間 08:00〜17:00
電話
健診センター
受付時間 08:30〜17:00
電話

ご予約・お問い合わせ

オンライン予約(24時間受付)

Web予約 LINE予約

お電話でのお問い合わせ

病院代表
029-874-3321 受付時間 08:00〜17:00
電話
健診センター
029-869-8666 受付時間 08:30〜17:00
電話
pagetop